ティプリンの入り口で感じた不思議な感覚/「俺が行くって決めたんだよ」という言葉

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自分の中には、強い自分、弱い自分、さまざまな自分がいます。

ティプリンに向かう途中で、「もう無理かも…」とふと思った瞬間に、それをかき消すかのように出てきたのが「俺が行くって決めたんだよ」という意識。

この意識が出て来てからは、足が勝手に前に進む不思議な感覚になりました。

ティプリンの手前で限界に差し迫った時…

Borangからティプリンまでの道のりで、一番きつかったのが、ティプリンの少し手前でした。

僕はもう限界に達していたため、ガイドさんに

「すみません、、ゆっくりのペースで行ってもいいですか?」

と聞いたところガイドさんは

「ゆっくりでいいよ」

とのこと。

ですが、ガイドさんはまったくペースを落とさず、どんどん離されて豆つぶの大きさに見えるくらいの距離になってしまいました。

 

ガネーシュのイメージがずっと見えていた

実は、車に乗っている時から、ガネーシャのイメージがすごく見えていました。

ガネーシャとは、ヒンドゥー教の神とされている象の頭をした神様です。

名前からもわかるように、ガネーシュヒマールは、そのガネーシャが住む山とされており、誰一人として登ることを許されていません。

ティプリンを目指して車に乗っている間に、ガネーシャのイメージが見えていましたが、ティプリンに近づくにつれて体も限界に達して来た時に、さらに色濃くイメージの中に見えていました。

 

そのイメージのガネーシャは、金色の粉みたいなものを、キラキラと上から降り注ぐようなイメージでした。

感覚としては、「ようこそ」とか「お前をサポートする」とか、そのような感覚ではなく、「さちあれ」という感覚です。

解釈としては、「道中、怪我なく、事故無く、無事にたどり着けよ」という感覚が近いと思います。

もっというと、「無事にたどり着けるかどうかはお前次第だ。幸あれ。」という感覚もしました。

 

それを理解した僕は、「やっぱそうだよな~、登山なんてそんなもんだよな~」と妙に腑に落ちる感覚がしました。

だからこそ、足元に注意を払い、落っこちないように自重のバランスを取りながら、鼻呼吸ができなくても呼吸を止めないよう、口の中が乾き過ぎないように、少しずつ水を飲みながら、マイペースを保ちながら安全に行くことを心がけていました。

 

ハシゴを登っているのか?と思うような登り道

呼吸も筋力も限界に達し、ガイドさんも豆粒に見えている時の道は、本当に崖の上にガイドさんが見えている状態です。

まるで16kgの荷物を背負い、ハシゴを登っているかのような上り坂を、1秒に一歩進むペースで登っていました。

呼吸も、「ハーハー」ではなく、「はあ”ーはあ”ー」になっていました。

 

崖と行っても、村の人達が行き来する道なので、ロッククライミングとは違います。

ですが、ただ大きい石を積み重ねて、これで歩けるかな~くらいの感じの道です。

 

そして、分かれ道もほとんど無いため、ガイドさんが豆粒に見えるくらい引き離されても、「豆粒でもいいから、ガイドさんが見えていれば大丈夫」という感覚で登っていました。

 

「もう無理かも…」と思ったその時に浮かんできた言葉

「はあ”ーはあ”ー」と呼吸の荒さが頂点まで来始めた時に、目の前がチカチカして来ました。

酸欠状態です。

足を動かす感覚もわからなくなってきていました。

 

その時、「うわ…もう無理かも。。」という感覚が湧き上がりそうになりました。

ですが、その0.1秒後に、「いや、俺が行くって決めたんだよ。だから行くんだよ。」という感覚がその「無理かも」という声をかき消しました。

 

その時からずっと、

「俺が決めたんだから、行くに決まってんだろ」

「俺が決めたんだぞ」

という言葉がバンバン湧き上がって来て、足が自動的に動き始めました。

 


一秒に一歩ずつ。

表層意識の僕は、目の前がチカチカしているので、無意識に前に進んでいる感覚です。

その時に、「⇐Tipling Sertung⇛」の看板があり、「もうすぐティプリンだー!うおー!」という感覚になったのを覚えています。

その看板の先に、ガイドさんが待っており、そこで一旦休憩をすることにしました。

 

休憩に入っても、5分以上経っても、「はあ”ーはあ”ー」という呼吸や、眼の前がチカチカする酸欠状態がおさまりませんでした。

※ちなみにガイドさんは、まったく呼吸が乱れていませんでした^^;

 

15分くらい休憩して、さらに登り道を進みました。

 

ようやくティプリンに入るが…

ティプリンに入ったのか、小学校が見えて来ました。

15~16kgの荷物を背負っいながら、1秒に1歩ずつ進む僕を見かねて、ガイドさんが「荷物を取り替えてあげようか」と声をかけてくれました。

「ありがとうございます」と、ガイドさんのリュックを背負った瞬間「軽っ!」と感じました。

ガイドさんは、水も持たず、着替えや最低限の物しか持って来ていないようでした。

 

カトマンズで宿泊したホテルで、「荷物は身軽で行った方がいいよ」と、ホテルのマネージャーさんから聞いていたのですが、こういう事だったんだーと思いました。

防寒着を充実させていただのですが、まったく必要ありませんでした^^;

 

そして民家の中を進み、ガイドさんは声をかけていき、泊まれる場所を探していました。

 

民宿に人がいなくて、さらに30分登る?!!

そこで、宿らしきところがあったのですが、ガイドさんが「ここの宿の主人が、畑仕事に行っていて、いつ戻るかわからないんだって。30分くらいあっちに行ったところにもう一つ宿があるから、そこまで行こう」と言いました。

30分か…。30分なら何とか頑張れるかも。

(歩き始め、視線を上げてみる)

え?!!30分この坂を登り続けるの?!

 

そうティプリンという村は、急勾配の山の斜面にある村で、「30分行ったところ」というのは、「30分間、山の斜面を登り続けた先」ということでした。

案の定、また「はあ”~はあ”~」と呼吸が荒くなり、ペースが落ち、宿に着くまで40~50分はかかったと思います。

 

ようやく宿へ到着!

宿に着くと、敷地内の屋外に、テーブルと椅子が2セット置かれていました。

その一つのテーブルでタバコを吸い、コーヒーを飲んでいたのがアメリカの方でした。

 

僕がもうひとつのテーブルのところに座るやいなや、水を飲み干したのを見て、「Drink?」と声をかけてくれました。

そのとき、どのような英語を言ってくれたかは忘れたのですが、「そこの水道の横にある樽に飲水があるよ」的なことを伝えてくれました。

いや、多分、コップにお水をついできてもらったかもしれません。

 

本当に酸欠状態で、呼吸も荒かったため、あまり覚えていなかったのですが、多分すごくわかりやすく行動や簡単な英単語で、飲水があることを教えてくれました。

聞くところによると、このアメリカ人は、小学校に英語を教えに来ている外部教師ということみたいです。

 

ティプリンで食べたネパールのヌードル

ガイドさんが「この人がこのホテルの社長さんだよ」と宿のご主人を紹介してくれました。

そして、泊まる部屋に案内され、荷物を置きました。

ガイドさんに「お昼ごはん食べるけど、ヌードルでいい?」と聞いてくれたので、「ありがとうございます」と答え、ご主人の家に行きました。

 

ご主人と少しだけ簡単な英語でやり取りした後、コンロに火をかけ、フライパンのようなお鍋に油をひき、青菜のようや野菜を炒め始めました。

ご主人の横にあったのは、袋のインスタントラーメンのような麺だったので、青菜入りのインスタントラーメンを作ってくれるんだなと感じました。

 

そこで急に寒くなったので、ビショビショになったヒートテックを着替えに部屋に戻りました。

実は、ティプリンは標高3800mくらいのところにあるので、太陽の日差しは暑いのですが、風が冷たいのです。

なので、日陰に入ると、汗で濡れた上着がめちゃくちゃ冷たくなってしまうんですね。

ですが、着替えて、ユニクロのニットの上にユニクロのライトダウンと、ユニクロのネックウォーマーをするだけで、十分暖かかったです。

 

そこで、ガイドさんが「お昼ごはんできたから、食堂に行こう」と言ってくれました。

そこで出て来たのが、こちらのヌードル↓

 

青菜と他にも何か具が入っていますが、忘れました^^;

ですが、めちゃくちゃ美味しかったです!

唐辛子が効いていて少し辛いのですが、ネパールの辛さというのは、韓国とも、中国とも違う、なんとも言えないような美味な辛さなんですよね。

またティプリンに行ったら食べてみたいです☆

 

ガイドさんが水晶を取り扱っている人を探しに


お昼ごはんを食べ終わったあと、ガイドさんが「とりあえず、お昼の時間帯で、水晶を取り扱っている人を何人か探してくるよ。そして、夜に商談しよう」と言ってくれました。

本当にありがたいことに、ガイドさんがすごく協力的に、しかも自主的に動いてくれました。

これがネパール人の「与えられるよりも、与えることに喜びを感じる民族」ということが、腑に落ちてきました。

 

次回へつづく

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